皆様はじめまして。TA(テクニカルアーティスト)を志望して2019年にトイロジックに新卒入社し、現在社内の様々な開発プロジェクトにおいてTA業務を担当している、トリです。今日はトイロジックのTAセクションについてお話ししたいと思います。

トイロジックのTA事情

トイロジックのTAセクション、といっても、社内で専任の人間は自分含めて少数しかいないため、まだまだ成長途中のセクションとなります。

TAといっても多種多様、ツール制作に特化している人からシェーダーに特化している人、ワークフローの構築に特化している人など世の中には様々なTAがいると思うのですが、自分がトイロジックで行っている業務はシェーダー・マテリアルがメインになります。各デザインパートや、時にはプランナーさんからの要望にも応え、ゲーム内の多種多様な表現を実現すべく日々奮闘しています。

現在の使用ツールはUE4をメインに、PhotoshopMayaSubstanceなどです。シェーダーそのものはUE4のマテリアルエディタでノードネットワークとして作成することが多いですが、必要に応じてVisual Studio Codeを使いHLSLで書くこともあります。

作業内容:具体的にどんな仕事をしているの?

では実際にどんな仕事をしているのかお話ししたいと思います。

近年ではよりクオリティの高いビジュアルにするために、特殊な表現が求められる事が多くなってきました。専用のマテリアルが必要になる場面は多くあります。現在自分が参加しているプロジェクトでは、そういった、ちょっと特殊なマテリアル全般について、検証からセットアップまで幅広く担当しています。

例えば、トゥーンレンダリング系の要素として、アウトライン表現が一例として挙げられます。メッシュを二重にするいわゆる「背面法」や、ポストプロセスによる輪郭検出を利用した手法など、考えられる手法をそれぞれ検証し、場合によっては組み合わせたりして、デザイン要件を満たしつつゲームに組み込める仕組みを検討していきます。

【画像】ポストプロセスによるアウトライン検証の様子

ポストプロセスによるアウトライン検証の様子です。プランナーさんからの要件で、2つの属性が色で分かれるようなポスプロアウトラインを作って!というオーダーでした。

他によく要望に上がるものとしては、頂点移動系の機能などでしょうか。サイン波を利用したオーソドックスなものから、回転、振り子運動、円周運動など……。風にそよぐ草などの表現や液体系のエフェクトで使ったりする他、空中に浮かぶ背景オブジェクトで使うなど、様々な場面で使用します。
大分特殊な例としては、多様な変形に対応するために、行列を用いた変換処理を組み込むなど、込み入ったものを作ることもあります。

自分は元々アーティスト寄りの人間なので、難しいアルゴリズムや数学的要素については先輩プログラマーの方に色々アドバイスをもらいながら作成しています。

【画像】頂点オフセットによるアニメーション機能

頂点オフセットによるアニメーション機能です。全てシェーダで動かしています。もちろんプログラムでも同じことはできますが、シェーダーでやるメリットがある場合もあるのです。

その他、エフェクトで汎用的に使用できるシェーダーを作ったり、絵作りに必要なポストプロセスマテリアルを作ったり、社内におけるPBRワークフローの整備のための業務であったりなど、描画に特化しているとは言っても、実に多種多様なお仕事をさせてもらっています。常に刺激が絶えず、毎日楽しいです!

今後のビジョン:今はまだ小規模ですが……

今後、よりクオリティの高い絵作りや、まだ誰も見たことのないような斬新なビジュアルを作っていくために、様々な実装アプローチや先端技術について把握していくことは不可欠だと思います。

会社として、これらをより高いレベルで実現していくために、メンバーの規模を拡大してTAセクションの運営を本格的に行っていくことを考えています。先に述べたように、今のところはTA専任は自分含め少数ですが、社内デザイナーの中でもテクニカルに興味を持ち自主的に勉強して目指していきたいという人達も出てきています。

描画系に限らず、最新技術の獲得に意欲的なメンバーを集め、常にあらゆるデザインセクション、全プロジェクトからの要望に電撃的に対応し、魅力的なビジュアルを提案していける…そんなテクニカルアートのプロフェッショナル集団を作り上げていくのが、自分の密かな(?)野望です!

著者紹介 トリ
専門学生時代からテクニカルアーティストに興味を持ち、2019年に同職種初の新卒採用者としてトイロジックに入社。現場配属直後から、新規タイトルの専属TAとして業務にあたる。現在に至るまで、キャラ、背景、エフェクト、モーション用の特殊機能など、ビジュアルに関わる多くの場面でシェーダアーティスト的な立場から携わっている。