こんにちは! モーションデザイナーの南吉です。『Warlander』ではキャラクターモーションなどを担当しました。前記事では『Warlander』のモーション制作の大きな流れを紹介しました。本記事ではさらに踏み込んで、『Warlander』のモーションチームは何を意識してモーションを作っているのかを紹介いたします。

1. アナトミー(解剖学)

人体骨格を理解することは大切で、骨格可動域を超えたポージングを付けてしまうと、違和感が生まれプレイヤーに意図しない伝わり方をしてしまう恐れがあります。

『Warlander』のモーションデザイナーは時には翌日筋肉痛になるくらい直接自分で動いてアナトミーの確認を行って制作してます。どちらの足に重心が乗っているのか、腰はどちらに傾いているのか、背骨のねじれ、肘や手首の向きなどを都度動いて確認しモーションに反映していきます。
 

2. アニメーションの12の基本原則

アニメーションの12の基本原則とは、ディズニースタジオのアニメーターが紹介したアニメーション制作の基礎となる12個のテクニックです。2Dアニメーションで紹介されたものですが、3Dアニメーションでも同じように考えます。『Warlander』のモーションにも意識されてます。

例えば、アニメーションの12の基本原則の一つ「フォロースルー」は動きの慣性を意味し、『Warlander』では人体の幹となる重心移動から指先まで意識して取り入れてます。

もう一つ、「アンティシペーション」は予備動作という意味で、次に何の動きが来るかを示すポーズになります。『Warlander』でよく見られる剣を振る動きは、剣が相手に当たる瞬間を長く作るのではなく、剣を振り上げるアンティシペーションと剣を振った後のフォロースルーをしっかり見せることで攻撃を与えたことをプレイヤーに伝えます。このように『Warlander』のモーションはアニメーションの12の基本原則を意識して制作してます。

3.カメラを意識した面の取り方と視線誘導

『Warlander』のカメラは常に操作キャラクターの背中を映します。そのため、背面から見てもキャラクターが何をしているのかが伝わり、映えるように工夫してモーション作成する必要があります。僧侶と戦士は大きな盾を持っているため、背面から見ると体を覆い隠しています。そのため、盾が表示されるモーションはネタやポーズを工夫して盾に気をつけて制作し、攻撃モーションを作る際にも、相手にダメージを与えるもの(武器や足など)に背面から見ても視線が行くように視線誘導も意識しています。

このように、『Warlander』のモーションは背面からよく見られることを意識して制作しています。

 

4.アクションライン

頭から足の間にかけての想像上の線があるんですが、こちらはアクションラインと呼ばれてます。このラインを考慮することにより、力強く誇張的で、何をしているか伝わりやすい明確なポーズとなります。イラストや2Dアニメーションでも重要とされているテクニックで、『Warlander』のモーションもアクションラインを意識して作られてます。
 

5.モーションの尺

『Warlander』はオンラインアクションゲームとなるため、尺が長いと相手に大きな隙を与えてしまい不利となってしまいます。意図的なモーション、例えば大ダメージを与えた際の予備動作が長いなどならよいのですが、そうでないものはなるべく尺が長くなりすぎないように意識してます。

 

最後に

以上が『Warlander』のモーション制作において意識したポイント紹介でした。他にも様々なテクニックを『Warlander』のモーションに反映させています。

それぞれ基礎的なものになりますが、基礎は先人たちが長い時間をかけて作り上げた宝のような情報です。モーションチームは『Warlander』のゲーム性を考慮した上で、この基礎を大事にしモーション制作しております!

ここまで読んでくださりありがとうございました!

著者紹介 南吉
中途で入ったモーションデザイナー。好きなゲームは逆転裁判とスプラトゥーン。好きな映画はインターステラー。好きな本はイルミナエファイル。