こんにちわ! トイロジックのゲームプランナーM本です。今回は、トイロジックで行われている社内企画募集についてと、企画募集に使われるコンセプトシートの書き方について、二部構成でご紹介したいと思います。

企画職に限らず、ゲーム業界を志望される方や身を置く方にとって「自分で考えたアイデアを元にゲームを作る」というのは、かなり大きな夢や目標ではないでしょうか。そんな夢を叶えるチャンスが、トイロジックでどのように巡ってくるのか、またそのチャンスにどう準備して臨むと良いかの簡単な解説になれば幸いです。

ちょっと長めのブログですけど、お付き合いください。

 

【第一部】社内企画募集について

弊社HPで制作実績等を御覧頂いた皆さんはご存じかもしれませんが、トイロジックでは自社IPタイトルの制作も手掛けており、それらのタイトルは概ね「社内企画募集」を経て誕生します。

募集の開催時期は不定期ですが、タイミングによっては年に数度実施されます。「社内」と銘打っているだけあって、企画職にとどまらず、デザイナーやプログラマなどのスタッフにも参加が推奨されています。みなさんゲーム会社で働いているだけあって少なからず「自分の考えたゲームを作ってみたい!」と思っていますから、今年入社の新人から私のような古株まで、大勢の社員が参加するちょっとしたお祭り的行事でもあります。

募集時に企画内容の大まかなレギュレーションが提示され、数百文字のテキストから画像を掲載した1~2ページの企画書まで、自由な形でアイデアを提出します。

募集レギュレーション一例

  1. どんなユーザーが遊ぶのかをしっかりと記載してください。具体的なイメージがあればあるほどよいです。
  2. 競合タイトルとその競合タイトルに対して優位な点を記載してください
  3. トイロジックの強みを活かせる、大規模なマッチング要素あるゲーム
  4. 日本やアジアをターゲットにした基本プレイ無料のPC/コンシューマ向けゲーム
    ※実際に敷かれたレギュレーションとは一部異なります

一度の社内企画募集で、おおよそ30~40件のアイデアが集まります。これらを社長含む選定者チームが内容確認と相談を行い、より深掘りしてアイデアを育てる作品を選出します。

選定で絞り込まれた企画案は、選定者チームが出したさらなる課題点を踏まえ、発案者により練り込んだ企画書の作成が依頼されます。こうして数件のアイデアが企画書化され、さらに検討を重ね厳選されてプロジェクト発足に漕ぎつけます。これがトイロジックにおける基本的な自社IPタイトル発足の流れとなります。

【第二部】コンセプトシートの書き方について

では、ここから社内企画募集でも活用される「コンセプトシート」について、その作りかたを含めて解説したいと思います。コンセプトシートは「一枚企画書」や「ペラ企画」とも言いかえられます。つまり、1~2ページにギュッとまとめられた企画書です。紙面が限られる為、最も伝えたい「コンセプト」を中心に据えて書かれた書類となります。

ゲームのあらゆる内容が詳細まで書かれた作業コストの高い企画書を作ってから見比べるより、まず低コストで作成できるコンセプトシートを多く集めて様々なアイデアを見比べて可能性を探る方が効率的ですよね。

弊社に限らず、いろいろなゲーム会社の社内コンペ等でもこういった「コンセプトシート」が活用されていると思いますので、覚えておいて損はありません。

コンセプトシート作成手順

では、ここから具体的なコンセプトシートの作り方を紹介していきます。

  1. アイデアを考える
  2. アイデアをテキストにまとめる
  3. レギュレーションに沿った項目へ2.で考えたテキストを落とし込み紙面を作る
  4. 推敲する

 

1.アイデアを考える

まずは脳内で自由にゲームの企画内容を考えるターンです。といっても、社内企画募集ではレギュレーションが存在するので、それを最低限満たさなければなりません。

けれど何でも自由とされるより、ある程度のお題や制限がある方が、思考がまとまりやすかったりしますよね。発案段階から、このレギュレーションを意識して発想することで、後々の作業工程が楽になります。最初にレギュレーションを無視してアイデアを膨らませると、後々「型にはめる」のが大変になりますから。

また、この時注意しておきたいのが、レギュレーションを守ることに加えて、「自分自身が面白いと思うアイデア」&「自分以外の人も面白いと思うアイデア」であることです。自分が楽しめないゲームのアイデアは、なかなか発想が膨らみませんし、内容に自信が持てません。かといって他人が楽しめないアイデアでは、選考に残りませんしそもそもゲームが売れません。

ゲームアイデアを考える時、パッとした思いつきでネタが膨らむことがままあるのですが、上記2つの視点を見逃していると、そのアイデアは先が無いものになってしまいます。お気をつけください。

 

2.アイデアをテキストにまとめる

脳内で自由に膨らませたアイデアを、一旦文章化します。この時は箇条書き形式で思うままに言葉を並べましょう。文章化する過程で、さらにアイデアが増えて補強されるハズです。

または、アイデアの穴や欠点、問題点が見つかるかもしれません。そうしたものもテキストとして書き起こしておきましょう。問題点や欠点は、そこを改善すればプラスに転じる重要なファクターでもありますから。

この時点のテキストは、人に読ませることを意識せず、自分がわかればOK程度の内容で書き連ねます。後の作業工程できっちり整理するので、今はただ情報を出し切ることに注力しておけば問題ありません。

 

3.レギュレーションに沿った項目へ2.で考えたテキストを落とし込み紙面を作る

A4用紙一枚程度の紙面を想定しますので、コンセプトシートに記載する文章量はさほど多くありません。ざっと以下の画像に記載された1.~5.の項目が紙面に収まっていればOKです!

先ほど箇条書きでアウトプットしているテキストを、他人に読んでもらえる体裁へ整えます。といってもあまり飾り立てる必要はないので、その分の力はアイデアの質や数に注ぎましょう。

ゲーム画面のイメージや、世界観や登場するキャラクターをイメージしたイラストが添付されていると、その後のテキストによる説明が大幅に伝わりやすくなります。

自分で絵を描いたり、画像加工の技術を持っていれば問題ありませんが、絵心がない人も、アイデアに一番似ている既存ゲームのスクリーンショットであったり、登場するキャラクターや舞台の世界感に近いイラストをインターネット上から探して引用しても良いでしょう(画像出典元は忘れず記載しましょう)

  1. ゲーム概要
    ターゲット層、ゲームジャンル、リリースするプラットホーム種別、マッチング形式やマネタイズ形式等の、募集レギュレーションに沿って箇条書きにした内容です。
  2. 企画コンセプトの説明
    一言でこのタイトルの肝をキャッチフレーズにしたものです。このときのコンセプトは、項目5.のユーザーが得られるゲーム体験に連動していなければなりません。悪いコンセプトは「鮮烈な赤と黒のマリアージュ」のような、ユーザーがどういう体験ができるかさっぱりわからないもので、良いコンセプトはユーザーがこのタイトルでどんな楽しい思いができるか、はっきり分かるものです。
  3. コンセプトを実現する仕組みの説明
    ゲームシステムであったり、世界観やキャラクターのユニークさだったりと様々ですが、項目の2.で掲げたコンセプトを具体的にどう実現するのか、その方法を解説しましょう。
    できればここでこのタイトルならではの発明的アイデアが提示できると、企画としての説得力や魅力がグンとアップしますね。
  4. 大まかなゲーム全体の仕組みの説明
    コンセプト実現の為のユニークなアイデアは項目3.で解説するとして、この項目ではざっくりとゲームの全体像が分かるような、ゲームシステムやボリュームについて言及します。
  5. ユーザーが得られるゲーム体験の説明
    このタイトルがユーザーに提供するゲーム体験がどういった魅力あるものなのかを解説しましょう。「ドリルを買いにきた人が欲しいのは ドリルではなく『穴』である」なんて有名な言葉がありますが、多くのゲームを遊ぶ人たちの目的は「体験を得ること」です。それをしっかりと明示することで、この企画案の核があらわとなります。

 

推敲する

あえて言うまでもないことですが、作業工程の仕上げとして「推敲」を行いましょう。簡単なものでは「誤字脱字のチェック」 「口に出して読んで、不自然さを感じたら書き直す」といったところから。何度か読み返すうちに、アイデアの穴を見つけたり、より良いアイデアが膨らんだり、まったく別のアイデアが芽吹いたりすることもままあります。

以上が、「コンセプトシートの書き方について」となります。ゲームプランナーを目指している方は、頭の中には作ってみたいゲーム案が沢山あるかと思いますが、一度コンセプトシートとして書き出してまとめておくと、ここぞという時にチャンスを得られるかもしれません。またアイデアをまとめる技術の習得として、チャレンジしておくのも良いと思います。

 

最後に

普段のブログ記事に比べて、ずいぶんとボリュミーな分量になってしまいました。この文章を読んでいる時点で、忍耐強く仕様書を読み解く力もあるということで、ゲームプランナー適正があるのではないでしょうか?

冒頭で触れましたが、自分発案のゲームアイデアを形にするチャンスは、そうそう巡ってこないものです。だからこそ、数少ない機会をモノにする為のテクニックを磨いておきたいものです。あわよくばこの記事がその一助となり、貴方が思い描いた素敵なゲームが世に生み出されることを期待しています!

著者紹介 M本
2008年入社。好きなゲームジャンルはARPGやサバイバルクラフト。オープンワールドゲームではサブクエストを全部こなさないと気がすまないタイプ。

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