みなさんこんにちは! トイロジックプランナーのKOです。

以前の記事では技術委員として勉強会についてご紹介しましたが、「せっかくだから UIプランナーとしてのHUDあたりで記事書いてよ!」と依頼が来たので2回目の登場です。

ただ、記事を書こうにも「そもそも UI プランナーの話って少ないんじゃないの?( Google 調べ)」という疑惑があったので、今回は “プランナーがHUD実装の際にやっていること” について紹介していこうと思います。

開発視点で見た 3DアクションゲームのHUDの特徴

HUD と言えば Head-Up Display の略で、一般的に画面最前面に表示される2Dの情報表示の事を指します。

ただし3Dアクションゲームの場合は、空間上にあるモノに対してマーキングしたりすることがあるため、仕様を考える際はエフェクトなど3Dの素材も含めて検討することが多いです。

着弾点表示とかは2Dと3Dを組み合わせるわかりやすい例ですね。

最近は没入感を高めるためにキャラクターを背後から写すカメラを採用しているゲームが多いですが、トイロジックが得意とする 3Dオンラインアクションゲームだと沢山の課題があります。

たとえば、

  • HUDが多いと没入感が減るのであまり出したくない。
  • 視界に対して見えるものは多いので、状況把握がしにくい。
  • リアルタイムでいろんなことを知らせなきゃいけない。
  • マルチプレイだと他の人についての情報も出さないといけない。
  • 字幕や、表示の色、サウンドのアクセシビリティまわりも考慮しないといけない。

などなど…

とにかく「ゲーム中の情報量は多いのに、実際画面に出せるものは少ない!」みたいな感じです。

なので、実際に良い感じのゲーム画面にするには、レイアウトやビジュアルデザインの知識だけではなく、ゲームシステムや「プレイ中の画面映像がどうなるか」をイメージしながら設計することの重要性がとにかく高いです。

 

UI 実装でプランナーは何をしてるの?

一般的なプランナーの「仕様作成と完成メージのすり合わせをして発注」「実装確認&フィードバック」という作業を行いますが、その際にゲームデザイン的な意図や、プレイ中の視点からの提案・意見だしをします。

具体的には「どういうときに、誰に、どういう情報が必要」というのを整理して伝え、UI チームと表現方法の相談をする感じです。

当然ながら開発中のゲームはまだ世の中には存在してしないので、相談をする際はゲームプレイのイメージを伝えるための資料もたくさん用意します。

他のタイトルでイメージが近い物を探したり、パワーポイントで相談用の画像を作ったりすることが多いです。開発中のゲームが動き出してからは、テストプレイ中のスクリーンショットをもとに図を作ったりもしますね。

完成イメージや細かい注意点を伝えるのには、パワーポイントで資料を作ることが多いです。

最終的なデザインやレイアウトは専門家であるデザイナーさんと相談して決定しますし、ディレクターやリーダー層の意向も大きく入る場所ではあるのですが、“ゲーム知識”を使ってガンガン提案・意見だしができるという点では裁量がわりと大きい仕事だと思います。

 

ひたすら調べて分析!そして確認…

「ガンガン意見をだせる」とはいうものの、それを納得させるだけの理由は必要です。そのために必要なのは、とにかく既存のものを調べて分析することです。

プランナーとしては “プレイヤー視点でHUDに求めるもの” を大事にしたいので、作っているゲームと近い要素を持つ作品をプレイしたり攻略情報や解説動画などを見て、「そのゲームではなぜその表示になっているか?」まで細かく検討しています。

HUDをわかりやすくするには「何を今まで通りにして、何を変えてもいいのか」という線引きが重要なので、沢山比較することで、開発中のゲームに取り入れるべき部分はどこか例を交えて明確にするわけですね。

ただし、最終的な「どう変えるか?」は、デザインルールやプログラム的な実現性なども考慮が必要なため、ワイヤーフレーム的なたたき台をつくって、UI チームで意見を出しながら詰めることが多いです。

既存のタイトルから、開発中ゲームと一致する部分を抜き出したようなたたき台を作って相談します。

また、最終的なクオリティを高めるために、他のパートの開発状況や仕様変更も随時チェックしています。

UI のブラッシュアップは性質上後工程になりますし、最近はリリース後のアップデートでの当たり前になってきているので、それらに対応できるように事前調査を進めたり、別案への改修がしやすい構造で実装を進めたりするためです。

一方で、このあたりは参考にしている作品をもとに大まかな予想を立てることもできるので、ディレクターとの仕様相談段階で先回りして「こういう仕様って想定しておいた方がいいですか?」と確認をしておくことの方が多いかもしれませんね。

とにもかくにも、UIの作業では開発中のゲームに関わるあらゆる情報を収集・整理して、ロジカルに完成形をイメージしていくのが求められます。
「○○はこうだったから、こっちはこうなるだろうな~」という”プレイのイメージ力”が物を言う分野なので、「ゲームの知識や経験を活かしたい!」という人にはやりがいがあると思います。

 

最後に

今回はHUD の話を中心に行いましたが、メニューなども同じような流れです。そちらではキャラビルドなどのゲームシステム部分の仕様や、”長く遊んでもらうための流れ”などもあわせて検討しています。

プランナーの仕事というとアクションやレベルデザインの話題が多めな印象ですが、UI まわりも”ゲームを思い通りにプレイする”ための重要な要素なので、プランナーが積極的にかかわっていくべき場所だと考えています。

ゲームUI関連の情報はやはりデザイナーさん発信のものが多く”仲間はいつでも募集中!”という状態ですので、この記事で少しでも UIプランナーという職に興味を持っていただけたら幸いです。

著者紹介 KO
2013年トイロジックに新卒入社。『ハッピーダンジョン』の運営と移植をはじめとして複数のタイトルでアウトゲーム・UIリードを担当。最近はアクション面にも手をのばしつつ、技術委員としてゲームデザイン研究や後続の育成に力を入れている。

 


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